心理データ解析演習
水曜 2時限 教育学部2Fサテライト 担当 楠見 孝 TA:中本敬子・杉森絵里子・平山るみ
本演習では,認知構造やプロセスを明らかにするための方法として,データ解析法とシミュレーションの技法を,最新の文献,ソフトウエア(SPSSなど)に基づいて検討する.さらに,各自の収集したデータを解析し,モデル化することを目指す.
具体的には,
(1)認知構造の解明:因子分析,クラスタ分析,多次元尺度解析,主成分分析など
(2)認知プロセスの検討:回帰分析,判別分析,共分散構造分析など
(3)実験データの解析:分散分析,共分散分析,多変量分散分析, ノンパラメトリック検定,ロジステック回帰分析,時系列分析など
(4)質問紙データの分析:共分散構造分析,多母集団同時分析,数量化理論,コンジョイント分析など
(5)テキスト(自由記述や連想)データの分析:テキストマイニング,対応分析
(6)データの視覚化(visualization):探索的データ解析(EDA)など
(7)ニューラルネットワークによるモデル化
(8)データマイニング:(1)-(7)の手法の統合的利用
(9)メタ分析
(10)進化シミュレーション
などのテーマを取り上げたい.各自の関心に応じて他の解析法,ソフトウエアやマクロ作成法,他のシミュレーション技法,実験プログラムを取り上げてもよい.手法ごとに(1)背景となる文献の紹介,(2)利用法の説明・デモ,(3)できれば,自分たちのデータを利用した結果を紹介する.最終的には,取り上げたすべての手法について,自分のデータを使って研究できるようにすることを目標とする.
などのテーマを取り上げたい.
単なるコンピュータ実習の授業ではなく,各自がデータ解析手法を検討し,情報交換をする場にしたいので,博士課程の院生の積極的な参加を歓迎する.なお,毎回出席するのではなく,興味があるテーマの時の参加も歓迎する(ただし一度は話題提供してください).
注意:サテライト教室のコンピュータまたは,各自が持参するノートパソコンを利用する.サテライト教室のコンピュータを利用するため,メディアセンタのアカウントを取得しておくことが望ましい.
日程表
4月9日 楠見:イントロダクション
4月16日 03年度,02年度の授業の成果 平山:メタ分析 米田:Wordminerによる自由記述データ解析 中西:コネクショニストモデル1
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発表者 |
研究テーマ |
手法 |
担当TA |
4月23日 |
橋本 |
ストレス |
杉森 |
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4月30日 |
杉森 |
記憶 |
中本 |
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5月7日 |
平山 |
批判的思考 |
中本 |
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5月14日 |
田中 |
批判的思考 |
平山・杉森 |
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5月28日 |
中本 |
メタファー |
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6月4日 |
石井 |
抑うつ・自己意識 |
平山 |
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6月11日 |
沖田 |
文化・自己 |
中本 |
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6月25日 |
米田 |
文章理解 |
中本 |
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7月2日 |
小川 |
幼児・心の理論 |
平山 |
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7月9日 |
中西 |
推論 |
杉森 |
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7月16日 |
河崎 |
教授学習 |
杉森 |
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7月16日 |
毛利 |
空間認知 |
杉森 |
7/31-8/2 狩野裕先生集中講義「心理・教育測定特論」
ソフト,文献・リンク集
利用できるソフトと比較的入手しやすい主な参考文献,サイトを挙げる.各自探して情報をe-mailで提供してほしい.
基本書
南風原朝和 2001 心理統計学の基礎 有斐閣 \2200
(a) 多変量解析
SPSS Inc. SPSS Japan
downloadables spssプログラムのアルゴリズム(pdfファイル)
SAS Institute SAS Institute Japan Home Page SAS Search Jump
STATISTICA StatSoft Inc:Statistica StatSoft Japan 日本語デモ版あり
JUSE-StatMaster 日科技研
柳井晴夫ほか編 2002 多変量解析実例ハンドブック 朝倉書店
石村貞夫 2001 SPSSによる多変量解析の手順(第2版) 東京図書 \2800
統計学習リンク集(SPSSの手引きのリンク集あり)(香川大堀先生)
(b)共分散構造分析
多変量データを用いて,観測変数と構成概念間の関係に基づいてモデルを構築する方法.データ解析とモデル構築において有用.
田部井明美 2001 SPSS完全活用法 共分散構造分析(Amos)によるアンケート処理 東京図書
豊田秀樹 1992 原因を探る統計学 講談社ブルーバックス
山本嘉一郎ほか 1999 Amosによる共分散構造分析と解析事例 ナカニシヤ出版 \3500円
狩野裕・三浦麻子 2002 AMOS・EQS・LALISによるグラフィカル多変量解析(増補版) 現代数学社 \2900
狩野裕・市川雅教 1999 共分散構造分析 日本統計学会チュートリアルセミナー (
(c)実験データの解析
石村貞夫 1997 SPSSによる分散分析と多重比較の手順 東京図書 \2800
反復測定(測度)分散分析/基礎と応用(千野研究室@愛知学院大)
(d) テキストマイニング
自由回答,発話,連想などのテキストデータから,単語の抽出,同義語処理などをおこない,単語のクラスタ,設問や回答者属性との連関を明らかにするための対応分析をおこなうデータマイニング手法.電子調査の普及によってテキストデータの入手が容易になり現在注目されている.
Textsmart(SPSS Inc.)英語
データマイニング
データから金を掘り起こすように,データから潜在する構造,規則を抽出し,ビジュアル化,モデル化をおこない,仮説検証,予測をおこなう手法.フィードフォワード型ニューラルネット,自己組織化ネット,決定木,相関ルールなどを用いる.
Clementaine5.0日本語マニュアル SPSS
www.spss.co.jp/product/ALL/clemen/index.htm
豊田秀樹 2001 金鉱を掘り当てる統計学:データマイニング入門 講談社ブルーバックス
SPSS 2001 マーケティングのためのデータマイニング入門 東洋経済新報社 \2400
(e) ニューラルネット
脳の神経回路に着想を得た認知過程のモデル化技法.データ解析にも使われている.
豊田秀樹 1996 非線形多変量解析:ニューラルネットによるアプローチ 朝倉書店.
tlearn http://crl.ucsd.edu/innate/tlearn.html
● 教育用シミュレータ.多層パーセプトロンにおける誤差逆伝搬,単純回帰ネットなどの学習を,心理学データの例題を通してできる.Plunkett & Elman(1997), McLeod, Plunkett,
& Rolls(1998)にも添付されている.
PDP++ http://www.cnbc.cmu.edu/PDP++/PDP++.html
●教育研究用シミュレータ.McClellandとRumelhartが開発し,改良されたもの.O'Reilly & Munakata(2000)で紹介されているモデルの検証にも使われている.
STATISTICA
Neural Networks http://www.statsoftinc.com/stat_nn.html
SPSS Neural Connection http://www.spss.com/neuro/
MATLAB Neural Network
Toolbox http://www.cybernet.co.jp/products/matlab/product/general/neuralnet/
● 上記3つは市販のデータ解析ソフトのオプションツールである.多層パーセプトロン,動径基底関数ネット,コホーネン自己組織化ネット,ベイジアンネット等を用いて,予測,分類,時系列分析などができる.STATISTICAは,入力時の遺伝的アルゴリズムの利用や,最適なネットワークの構造とサイズを選択する機能があり,ネットワークなどの視覚表示やマニュアルも充実している.SPSSは,データ処理の流れをマップ表示したインタフェースに特徴がある.MATLABは,理工系向きであり,可視化やカスタマイズに優れる.なお,ニューラルネットを含むデータマイニングツールとしては,下記のソフトがある.
Clementine http://www.spss.co.jp/product/ALL/clemen/index.htm SPSS Neural
Connection http://www.spss.com/neuro/
(f)視覚化
(g)メタ分析
同一の研究課題に関して独立して行われた研究結果(仮説検定,相関,効果量など)を統計的に統合して,全体としての仮説検定や推定値を求める方法.サーベイ研究において重要な武器.
Mullen,B.(小野寺訳) 2001基礎から学ぶメタ分析 ナカニシヤ出版 \2800(CDROM付)
(h) 進化シミュレーション
生物進化に着想を得て,個体,集団,文化,環境間の長期的相互作用を検討する手法.
高木英至 http://homepage1.nifty.com/eiji_takagi/esp/index.html デモプログラム有
科学シミュレーション研究会 2000 パソコンで見る生物進化 : シミュレーションでさぐる生物の生き残り戦略 講談社ブルーバックス(CDROM付)
参考 昨年度の授業記録
1 4/10 佐藤:多変量解析適用事例の紹介
2 4/17 昨年度の成果紹介(昨年度の授業参照):メタ分析(平山),システム分析&共分散構造分析(松田),コネクショニストモデル(小島)
3 4/24 西山:SPSSによる因子分析・クラスタ分析の手順
4 5/1 平山:分散分析
5 5/8 中西:コネクショニストモデル1
6 5/15 橋本:共分散構造分析とAMOS
7 5/22 野村:進化シミュレーション
8 5/29 米田:Wordminerによる自由記述データ解析
9 6/5 龍輪:共分散分析
10 6/12 孫:2要因・3要因の分散分析と多重比較
11 6/19 小島:階層型ニューラルネットワークの基礎の基礎
12 6/26 篠崎:Wordminerによる自由記述データ解析例
7/3 下條先生集中講義のため休講
13
7/10 松田:EQSによる共分散構造分析の解析事例
14
7/17(補講)サテライト教室 10:30-11:40 河合:回帰分析
15 中央装置室(215)11:45-12:55 杉森:信号検出理論
更新日
July,15, 2003