研究期間 | : | 2011年度~2015年度 |
1.研究の目的
本研究の目的は,21世紀に生きる市民として,マスメディアやインターネット上の科学や災害,医療などに関する情報の信頼性を判断し活用するための高次のリテラシーと批判的思考力をアセスメントし,育成する方法を検討することにある。研究課題は大きく3つに分かれる。
第1は,批判的思考力と態度を育成する教材とアセスメントツールを作成し,メディア,科学などに関する市民リテラシーを,批判的思考力がいかに支えているかを明らかにする。
第2は,高次リテラシーの1つとしての神経科学リテラシーを取りあげ,その育成のための教材を作成し,教育実践の評価を行う。さらに,神経科学リテラシーがマスメディアにおける脳科学に関する情報信頼性の評価と理解を,いかに支えているかを明らかにし,適切な科学コミュニケーションの方策を検討する。
第3は,第1と第2の課題の成果に基づき,子育て中の親,患者とその家族などが,脳科学,災害,医療などの情報をインターネット上でいかに探索し,チャットやブログ,SNS
でやりとりするか,その情報の信頼性をいかに評価するかを明らかにし,それを支えるネットリテラシーを評価する。そして,3つの研究課題の成果を統合して,情報の信頼性判断を支援する関連情報提示システムを用いた拡張思考環境を構築し,高次リテラシーと批判的思考を発揮するための認知的支援と教育プログラムを策定する。
そして,上記の3つの研究課題の成果を、市民のための高次リテラシー批判的思考の観点から統合的に考察する.
2.研究組織 2014年度
研究代表者 | 楠見 孝 | 京都大学・大学院教育学研究科・教授 |
課題1 | 「市民リテラシーと批判的思考」 | |
研究分担者 | 子安 増生 | 京都大学・大学院教育学研究科・教授 |
道田 泰司 | 琉球大学・教育学部・教授 | |
Manalo Emmanuel | 京都大学・大学院教育学研究科・教授 | |
林 創 | 神戸大学・大学院人間発達環境学研究科・准教授 | |
沖林 洋平 | 山口大学・教育学部・准教授 | |
平山 るみ | 大阪音楽大学短期大学部・音楽科・准教授 | |
課題2 | 「神経科学リテラシーと科学コミュニケーション」 | |
研究分担者 | 信原 幸弘 | 東京大学・大学院総合文化研究科・教授 |
坂上 雅道 | 玉川大学・脳科学研究所・教授 | |
原 塑 | 東北大学・大学院文学研究科・准教授 | |
研究協力者 | 小口峰樹 | 玉川大学 脳科学研究所 研究員 |
課題3 | 「ネットリテラシーと情報信頼性評価」 | |
研究分担者 | 三浦 麻子 | 関西学院大学・文学部・教授 |
小倉 加奈代 | 岩手県立大学・ソフトウエア情報学部・講師 | |
乾 健太郎 | 東北大学・情報科学研究科・教授 | |
研究協力者 | 田中 優子 | 情報システム研究機構・特任研究員 |
3.日程
4.関連する研究会,出版物などの情報
講演
ラウンドテーブル「高次リテラシーと批判的思考」 第18回大学教育研究フォーラム 2012年3月16日(金)13:30~16:00 京都大学
出版
楠見 孝・子安増生・道田泰司(編) (2011). 批判的思考とその育成:学士力,ジェネリックスキル,社会人基礎力の基盤 有斐閣
楠見 孝・道田泰司(編) (印刷中). ワードマップ 批判的思考:二一世紀を生きぬくリテラシーの基盤 新曜社 2015年1月20日出版予定
心理学ワールド 特集/批判的思考と心理学 2013年4月号
5.リンク集
update 2014.12.30