岡野 裕仁(OKANO, Hirohito) D1

2024.9.3更新
okahito75atgmail.com
ResearchGate

研究領域

様々な苦しみや自分の限界にぶつかったとき、私たちはしばしば、他の人々を羨んで孤独感を感じ、自分自身のふがいなさに苛立ちます。しかし、そのような状況においてもなお、私たちは、苦しい思いをするのは自分一人ではないことに気づき、弱点や欠点をもつ自分を受け入れ、自分自身に思いやりを向けることができます。
このような自分に対する態度はセルフ・コンパッション (self-compassion; 「自分への思いやり」) と呼ばれ、セルフ・コンパッションを持つ人は抑うつや不安などの精神病理を経験することが少なく、well-beingが高いことが示されています。
私は、セルフ・コンパッション概念の本性や可塑性、精神病理・well-being・他パーソナリティ特性とセルフ・コンパッションの関係、セルフ・コンパッション向上のための介入について、質問紙調査や実験、自然言語処理 (NLP) などの手法を用いて研究しています。
また最近は、人々が記述した自然言語データから、自然言語処理技術を用いて心理学的情報を抽出・定量化することに関心を持っています。例として、深層学習に基づいた言語モデルであるBERTを用いて、自由記述データから書き手のセルフ・コンパッションや曖昧さへの態度を予測する研究を行いました (Okano, Kawahara & Nomura, 2024; Hitsuwari, Okano & Nomura, 2023)。

Research Area (in English)

When we encounter various kinds of suffering and our limitations, we often envy others, feel lonely, and are frustrated by our inadequacies. But even in such situations, we can still turn compassion toward ourselves, realizing that we are not alone in our suffering and accepting ourselves for who we are with our weaknesses and shortcomings.
This attitude toward ourselves is called self-compassion, and it has been shown that people with self-compassion experience fewer psychopathologies, such as depression and anxiety, and have higher levels of well-being.
I am researching the nature and plasticity of self-compassion, the relationship between self-compassion and psychopathology, well-being, and other personality traits, and interventions to improve self-compassion using questionnaires, experiments, and natural language processing (NLP).
Recently, I have also been interested in using natural language processing techniques to extract and quantify psychological information from natural language data written by people. As an example, we have conducted research using BERT, a language model based on deep learning, to predict a writer's self-compassion and attitude toward ambiguity from free description data (Okano, Kawahara & Nomura, 2024; Hitsuwari, Okano & Nomura, 2023).

学歴

2024年3月 京都大学 大学院 教育学研究科 修士課程 卒業
2022年4月 京都大学 大学院 教育学研究科 修士課程 入学
2022年3月 京都大学 教育学部 卒業
2018年4月 京都大学 教育学部 入学

研究業績

論文
■査読あり（第一著者）■
■査読なし・プレプリント（第一著者）■
  • Okano, H., Kawahara, D., & Nomura, M. (2024). Language model BERT can estimate trait self-compassion from people's free texts with high accuracy. PsyArXiv. doi: 10.31234/osf.io/9zfh7
■査読あり（第二著者以降）■
  • Hitsuwari, J., Okano, H. & Nomura, M. (2024). Predicting attitudes toward ambiguity using natural language processing on free descriptions for open-ended question measurements. Scientific Reports. 14, 8276. https://doi.org/10.1038/s41598-024-59118-z
学会発表
■国際学会・ポスター発表（第一著者・査読あり）■
  • Okano, H., Kawahara, D. & Nomura, M. (2024). Estimation of Self-compassion from Free Texts Using a Large Language Model BERT. 33rd International Congress of Psychology, Prague, Czech Republic, 21st-26th July, #2021.
■国内学会・ポスター発表（第一著者, 査読あり）■
■国内学会・ポスター発表（第一著者, 査読なし）■
  • 岡野裕仁・野村理朗 (2024).　セルフ・コンパッションは苦しい状況におけるいかなる思考・行動パターンと関連するのか？　―自由記述と構造トピックモデルによる検討―　日本心理学会 第88回大会, 熊本城ホール, 9月.
  • 岡野裕仁・河原大輔・野村理朗 (2024).　自由記述からセルフ・コンパッションを推定することは可能か？―BERTによる心理学的構成概念の定量化―　言語処理学会 第30回大会, 神戸国際会議場・神戸国際展示場, 3月.
  • 岡野裕仁・野村理朗 (2023).　畏敬感情は社交不安を軽減させるのか？　日本心理学会 第87回大会, 神戸国際会議場・神戸国際展示場, 9月.
  • 岡野裕仁・野村理朗 (2023).　社交不安とセルフ・コンパッションの相互関係 ―交差遅延効果モデルによる縦断的検討―　日本パーソナリティ心理学会 第32回大会, 金沢歌劇座, 9月.
  • 岡野裕仁・野村理朗 (2022).　社交不安と社会的比較志向性との関連 ―社会的比較志向性は社会的スキルの自己評価と社交不安の間の関係を調整するのか―　日本心理学会 第86回大会, 日本大学, 9月.
■国内学会・ポスター発表（第二著者以降, 査読なし）■
  • 西山慧・谷坂知美・山本弦季・岡野裕仁・立川真衣・村上遥・阿部由香梨・Paterson Rebecca・齊藤智 (2023). 手がかり再生における反応潜時の学習曲線–単語音読との比較　日本認知心理学会 第21回大会, 東京都立大学, 7月.
その他 (Others)
■研究助成■
  • 京都大学教育学部同窓会（京友会）研究助成事業 2022年度.
    京都大学教育学研究科 グローバル教育展開オフィス 国際学会発表支援 2024年度.
    大学院教育支援機構SPRINGプログラム 研究奨励費・研究費 2024年度～.
■職歴■
  • 「描線によってもたらされる影響に関する研究」 リサーチ・アシスタント, 京都大学大学院教育学研究科, 2022年度
    京都大学 情報環境支援センター ティーチング・アシスタント 2022年度～
    京都大学 教育学部 教育心理学系科目「初級実習」 ティーチング・アシスタント 2022年度～

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