2024.11.8更新
tanji.makoto.88rst.kyoto-u.ac.jp
私たちは日常生活の中で、多くの視覚情報に囲まれており、それらを自然に受け入れて生活しているように感じます。しかし、心理学の研究では、人が一度に覚えられる視覚情報は実際には非常に限られていることがわかっています。たとえば、色を覚える場合、一度に記憶できるのは3〜4つだけだと言われています。
このように、一時的に視覚情報を処理・保持する能力は「視覚性ワーキングメモリ(Visual Working Memory,VWM)」と呼ばれています。最近の研究によると、現実世界に存在する具体的な物体(例:本,りんご)を対象とする場合、より多くの情報を記憶できることが示されています。これは、私たちが視覚情報を処理する際に、その物体が持つ「意味」を手がかりとして活用している可能性を示唆しています。
ここでいう「意味」とは、私たちが世界を理解するために物体に対して与える情報であり、過去の経験を通じて蓄積された知識のことを指します。視覚性ワーキングメモリにおいて、この意味情報がどのような影響を及ぼすのかを検討することで、私たちが知識をどのように活用し、複雑な視覚情報を効率よく処理しているのかを明らかにすることができると考えられます。
現在、私たちは「意味を持つ現実の物体が、どのような条件下で効率よく処理されるか」というテーマで研究を行っています。今後は、意味や知識が視覚性ワーキングメモリにどのように役立っているのかを明らかにすることを目指し、研究を進めていきたいと考えています。
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